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共通する躯体

セメント・コンクリート」の記述のとおり、コンクリート構造物の耐久性を高めるためには、まず建物の骨格となる躯体を丁寧に、心を込めて打設すること。そして打設後のコンクリートの養生期間(※1)を十分とることが非常に大切です。
均整のとれたコンクリートであれば屋上にしても外壁にしても十分な防水機能はあります。打ち放しコンクリートの場合、長期的な耐久性と表面劣化防止を目的として表面処理を施しますが、ひび割れさえ発生しなければ防水機能を発揮するのです。

水密コンクリート(※2)は、いくつかの条件を有しますが、完成したコンクリートは屋上の部位であっても十分な防水機能を発揮します。
例えば屋上においては梁上に誘発目地を設置し、耐久性のある弾性シーリング材等を充填する。そして十分乾燥したコンクリート表面に表面保護材(※3)(劣化防止のための吸水防止材)を塗布します。
勿論配合条件とピュア・プラスティサイザーの指定をします。
その目的をもって打設すれば素晴らしい躯体防水になるのです。
しかし今日の日本においては、防水機能の安全性等を目的としてメンブレン防水(※4)を施工することが標準になっています。
天才・地変等の災害に対する安全性、特に地震による構造体の動きに対する安全性などがその要因になっているのかと思います。
屋上スラブを持つどの建物でもメンブレン防水なしでは不安なのが現状のようです。

外装(外壁)の場合、防水機能と美装性を目的として様々な仕上げ材が施されています。
外装材で躯体を保護し、また美しく化粧することは防水機能をさらに向上させ、街並みをもきれいにしてくれます。
しかし現状として屋上の防水にはメンブレン防水を、外壁には仕上げ材が仕様として設計されている場合、ともすると防水材や仕上げ材に頼って、躯体コンクリートの品質の重要性が疎かになってしまいがちです。
そんな躯体コンクリートの大切さを無視した粗末な現場を見かけることが多々あります。

例外はありますが、どんなものにも芯があり、その芯がしっかりしているかいないかが重要であり、建物において、基本は芯材である基礎を含めた躯体コンクリートであることは間違いありません。
躯体コンクリートさえしっかりしていれば、地震が発生しても安心です。
それこそ50年100年は心配いりません。
躯体コンクリートが上質であれば、屋上防水の改修も外壁仕上げの改修も下地補修に手間が掛からず、当然完成度も高くなります。
費用面にいてもかなり安価で改修できるのです。

弊社はコンクリートの混和材や、セメント製品に関する混和材及び仕上げ材等の販売と、施工も行っていますが、本業は防水工事屋です。
それも改修工事が多くを占めます。躯体コンクリートの重要性や性質は理解しているつもりですが、改修工事の対処方法や仕上げ材の材料の選定等において、常に最善のご提案を提供して参りたいと思う次第です。

屋上のコンクリート躯体防水(メンブレン防水層なし)の例としては近畿地区に於いて多くの実績がありますが、埼玉県のある地域では、公立学校の屋上にコンクリートによる躯体防水を積極的に取り上げ、その成功例も多くあります。

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(※1)養生期間
コンクリートは、コンクリートの知識や、打設の原則、現場の規則や手順を遵守し、心を込めて打設しなければなりません。
また、大事なことは、打設後のコンクリートの成長を、愛情を持って育てる気持ちが必要です。
打設後のコンクリートには風と日光を当てないことがとくに遵守すべき原則です。
必然的にシート掛け養生が非常に有効で、状況により散水養生も必要になる場合があります。
良質で均整のとれたコンクリートの色は、落ち着いたネズミ色で、見るからにネバリのある腰の強そうなコンクリートに仕上がります。
(※2)水密コンクリート(デンス・コンクリート)
水密性コンクリートとは、ピュア・プラスティサイザーを用いて、単位水量、空気量を抑え、水セメント比(55%以下)を小さくした密度の高いコンクリートのことです。
密度が高い分、一般コンクリートより重くなります。
水槽、地下室など圧水力が作用するような特に水密性を要求される構造物に使用され、最近では打ち放しコンクリートや自然条件が厳しく高耐久性を要求される建築物にも採用されています。
(※3)表面保護材(ディックガードシステムディックガード P-20)
コンクリート表面の劣化防止を目的とし、壁面・スラブ面に浸透させてコンクリート表面の吸水を防止する保護材です。
(※4)メンブレン防水
アスファルト系防水・加硫ゴム系シート防水・塩化ビニル系シート防水・ウレタン系塗膜防水・FRP系防水・アクリルゴム系塗膜防水など、一般建築に用いられる防水工法の総称。
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